簡単に孤立点とオープンパスのないベクターデータを作る方法

ストックイラストサイトによっては、投稿できるデータに「塗りのないオープンパス」や「孤立点」のあるベクターデータがNGという規定があるサイトがあります。
「孤立点」というのはその名の通り、塗りにも線にもなっていない、孤立した無意味なパスのこと。
「オープンパス」というのは、始点のパスと終点のパスが繋がっていないパスのことです(対して「クローズパス」というのは始点と終点が繋がっている、閉じられたパスのことです)。

これらの規定があるストックサイトに素材をアップするには、ベクターデータを「塗りのないオープンパス」や「孤立点」のないデータに整える必要があります。
「私の作るデータにはそんなオブジェクト無いよ」と思う方もおられると思いますが、画像をトレースしてパスに変換したりすると、知らぬうちに結構なオープンパスが発生してしまったりしますので、必ず入稿前にデータチェックを行いましょう!

STEP1.孤立点を削除する

孤立点を削除する方法は簡単です!

  1. データ上ですべてのレイヤーのロックを解除し、すべてのレイヤーを表示します。
  2. すべてのロック解除します。
    (Macは[Command]+[Option]+[2]/Windowsは[Ctrl]+[Alt]+[2]、または「オブジェクト」→「すべてをロック解除」)
  3. すべての隠したオブジェクトを表示します。
    (Macは[Command]+[Option]+[3]/Windowsは[Ctrl]+[Alt]+[3]、または「オブジェクト」→「すべてを表示」)
  4. すべての選択を解除します。
    (Macは[Command]+[Shift]+[A]/Windowsは[Ctrl]+[Shift]+[A]、または「選択」→「選択を解除」)
  5. 「選択」→「オブジェクト」→「孤立点」を選択。
     
    孤立点の削除
  6. 孤立点がある場合は選択された状態になりますので、「Deleteキー」(またはBackSpaceキー)で削除すれば完了です。

STEP2.オープンパスの有無を確認する

オープンパスを調べる
①「ウィンドウ」→②「ドキュメント情報」を選択して、ドキュメント情報ウィンドウを表示。
ドキュメントウィンドウの③「メニュー」の中より④「オブジェクト」を選択。
オープンパスを調べる
全選択(Mac[Ctrl] +[A]/Win[Command] + [A])すると、オープンパスの数が表示(⑤)ます。(上記の場合32個のオープンパス)

error「線のオープンパス」がある場合も表示されます。
「塗りのないオープンパス」はNGだけど、「線だけのオープンパス」はOKとしているストックさんもありますので、線をアウトライン化せずに線オブジェクトのままにしておきたいという方は

  1. 線だけ別のレイヤーにしてデータを制作する。
  2. 線レイヤーを非表示にした状態で、オープンパスの有無を確認する。

などの方法で、適切に線パスを管理しましょう!
特に「線オブジェクトのままにしておきたい」というこだわりがなければ、線をすべて「パスのアウトライン」でアウトライン化してしまうのもよいと思います。
※線パスを選んだ状態で、「オブジェクト」→「パス」→「パスのアウトライン」
(ただし、後からデータの修正などしやすいように、アウトライン前のデータも保持しておくことをお勧めしますよ)

STEP3.オープンパスを削除する

オープンパスを削除
ツールバーの⑥「はさみ」から、⑦「ナイフツール」を選択して、⑧図のように、オブジェクトを全選択した状態で、ナイフツールでぐるっと囲みます。

オープンパスを削除
すると、選択していたオブジェクトのうち、オープンパス以外のパスだけを選択した状態になります。

その状態のまま、選択したオブジェクトを隠します(Macは[Command]+[3]キー/Windowsは[Ctrl]+[3]キー/あるいは、「オブジェクト」→「隠す」→「選択」)。

オープンパスを削除
⑨「選択ツール」から⑩「ダイレクト選択ツール」を選び、アートボード全体をぐるっと囲んで選択します。すると、残されたオープンパスだけが選択された状態(⑪)になります。

warning必ず「ダイレクト選択ツール」で選択してください。グループ選択ツールで選択すると、非表示になっているグループパスも選択してしまう可能性があります。

 
選択されたパスを「Deleteキー」(またはBackSpaceキー)で削除し、先ほど隠したオブジェクトを表示します(Macは[Option] +[Command]+[3]キー/Windowsは[Ctrl]+[Alt]+[3]キー/あるいは、「オブジェクト」→「すべてを表示」)。
オープンパスを削除
再び全選択して、オープンパスが無いことを確認して完了です。

errorデータによって違う挙動をすることがあるので注意
上記の例のように、複雑なパスのデータの場合に「ナイフツール」で囲むと、オープンパス以外のパスだけを選択した状態になりますが、下の図のようにシンプルなパスデータの場合に「ナイフツール」で囲むと、オープンパスの始点と終点が自動的に繋がれたクローズパスに変化します。

シンプルなパスだと…

そもそも「ナイフツール」というものは、パスオブジェクトをフリーハンドでスライスするためのツールなので、なぜナイフツールで選択したパスをぐるっと囲むとオープンパスが無くなるのか、詳しい理由はわかりません。
また、Illustratorのバージョンによっても異なる挙動をする可能性があります(上記検証のイラレバージョンはCC2023です)ので、あくまで裏ワザ的な豆知識程度の認識で参考にしてください。

 
これで孤立点もオープンパスもないデータの完成です!
ベクター審査の一発OKを目指しましょう!


edit_note こちらの記事もあわせてどうぞ

ストックイラスト各社の規定をまとめてみました